建设作业の合理化で安全な建物を
建设作业の合理化で安全な建物を
2021/03/02
动画作成者
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松尾真太朗
准教授
人间环境学研究院
専门分野
建筑钢构造
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ネジ(ボルト)を缔めたことはあっても、溶接をしたことがないという人は、少なくないはずです。我が国はいま、溶接工不足に直面しつつあります。このような状况がさらに进めば、建设事业の遅れにつながりかねません。
九州大学大学院人间环境学研究院の松尾真太朗准教授は、この問題を解決しようと、溶接に代わる選択肢を探っています。それは、ボルトを締めるような比較的簡単な作業で、建築構造物の安全性を維持する構法です。
「溶接には、建材の进化に伴ってより高度な技术が求められます。しかし、ボルトを缔めることは谁にでもできます。溶接作业の全てをなくす必要はありませんが、一部の接合部を高力ボルトに変更するだけでも、建设作业を大幅に简略化でき、工期も短くできる可能性が高まります」と松尾准教授は话します。
世界中で1日に建てられる约13,000栋もの都市建筑物にとって、安全性と工事のしやすさは重要なポイントです。より强度の高い建材を使うことは、建材そのものの重量を减らしながら、建物の构造强度を保持することが可能となります。しかし多くの场合、それと引き换えに、厳しい施工条件がつきまといます。
そこで松尾准教授は、これらの制限を受けにくい施工技术の开発と评価に力を注いできました。高力ボルトを使うことで、実际の现场で行う溶接作业を大幅に减らしながら、工场における品质管理の行き届いた接合部品(梁を柱にボルトで固定するための接合用ダイヤフラムなど)を现场に供给して组みたてるのもその一つです。
「全体的な考え方は単纯ですが、例えば、ある一定の规模の建物に対して、安定的に効率的な构法が适用できれば、それはシステム化され、広く普及する可能性があると言えますが、そのような画期的な构法はなかなか実现できていないのが现状です。」と松尾准教授は话します。
より使いやすい施工技术にしようと、松尾准教授がもう一つ研究を进めているのが、颁贵罢(コンクリート充填钢管)构造です。その优れた性能は、超高层建筑において注目されてきました。コンクリートは、本来必要な钢材の量を减らしつつ强度を高めます。また、半永久的な钢管は、仮设型枠の解体に伴う労力を减らします。しかしながら、コンクリートの充填はデリケートな作业です。
「求められる品质に対し、充填作业を厳しく管理できるのはごく一部の建设会社に限られているのが现状です。より多くの人が従事できる环境の実现に贡献できればと考えています」と松尾准教授は语ります。
颁贵罢の材料を製造する际には、溶接作业も必要です。钢管には高强度の钢材を使うことが望まれます。しかしながら、接合部をできる限り强くするために、同じような高强度の材料で溶接しようとすると、その作业は复雑になります。
「ただ、构造全体を考えれば、强度の低い接合部に対して高强度の接合部が持つメリットは、场合によっては限られてきます。どの部分であれば、低强度の接合であっても构造上は问题なく耐えられるかを理解することで、より简単な溶接技术を用いるだけで済むかもしれません。」と松尾准教授は説明します。
松尾准教授の研究グループは加力実験とモデリングを行い、さまざまな施工技术による构造部材が外的変化に対してどのようにして耐えられるかを调べるとともに、现场で実际にどう応用できるかを予测しています。学内の设备を使い、破壊に至るまでの现象を特定するための加力実験やモデリングを行うことで、构造部材の特性を正确につかみ、新しい设计に生かすのです。
しかし、このような実験には限界があります。
「実験によって调べられる现象は、あくまで研究者が想定する仮定のもとで起こり得る现象です。一方、実际の现场では、どんなことも起こりうるのです。建筑构造物の実际の破壊现象を调査し、このギャップを埋めることが非常に重要です」と松尾准教授は话します。
その活動の一環として、松尾准教授は2016年の熊本地震(九州大学から南へ約100kmの熊本市付近を震源に発生した一連の地震)で被災した 鉄骨造施設の調査を行うワーキンググループに参加しました。
「甚大な被害が発生したことは残念ですが、私たちにはこの経験を无駄にせず、今后の建筑构造物の安全性の向上に生かしていく责务があります」と松尾准教授は强调します。
将来の建筑构造物が、住む人にとってより安全で、建てる人にとってより负担の少ないものとなるよう、松尾准教授は研究を続けています。