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Research Results 研究成果

エムポックス感染者の隔离はどのように终了するのが良い?

隔离终了タイミング検証のシミュレータを开発
マス?フォア?インダストリ研究所
岩見 真吾 客員教授
2024.08.26
研究成果Life & Health

ポイント

  • エムポックス感染者に対する现行の约3週间の隔离ガイドラインは、隔离期间を遵守した感染者からの95%以上の伝播防止が可能であり、妥当な措置であった。
  • 个人のウイルス量を评価できる検査(従来のPCR検査など)の导入により、隔离期间を不必要に长くすることなく、効果的に管理する可能性が期待できる。

概要

 国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院理学研究科の岩見 真吾 教授の研究グループは、オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)および愛媛大学の三浦 郁修 博士らとの共同研究により、エムポックス(クレードⅡ)注1)感染者の隔离を终了するタイミングを検証するためのシミュレータ(シミュレーション用ソフトウェア)を新たに开発しました。これにより、定められた回数の阴性検査结果が得られた场合に、エムポックス感染者の隔离を早期终了できる柔软で安全な隔离戦略が提案できるようになります。たとえば、感染者の隔离を早すぎる段阶で终了するリスク(すなわち、他者への感染性を维持したまま隔离を终了するリスク)を5%未満に抑えたい场合、症状消失を基準にした一般的な隔离终了注2)と比较して、シミュレータで最适化した検査结果に基づく隔离では、1週间以上も隔离日数を减らすことが可能であることが分かりました。
 2022年5月以降に、新しい系统群(クレードⅡ注3))のエムポックスウイルスが欧米诸国を中心に国际的流行へと拡大しました。また、2024年8月14日、奥贬翱はコンゴ民主共和国を中心にケニアやルワンダなどではより重症率の高い别のクレード(クレードⅠ)のエムポックス感染者数が増加と蔓延を受けて、国际的に悬念される公众卫生上の紧急事态を再び宣言しました。本研究はクレードⅡのエムポックス感染者における研究成果ですが、クレードⅠの感染者においても、同様のデータがあれば适切な隔离期间の设定が可能になるため、クレードⅠにおいても重要な知见を示す可能性があります。
 これまで、新兴再兴感染症の発生当初においては、临床?疫学データや経験则に基づいた异なる隔离基準が国ごとに採用されてきた状况を考虑すると、本研究は、数理モデルに基づいた、世界的に求められている柔软な隔离ガイドラインの确立に贡献できると期待されます。
 本研究成果は、2024年8月26日18時(日本時間)付で国際学術雑誌『Nature Communications』に掲載されました。

注1)エムポックス:
1970年にザイール(现在のコンゴ民主共和国)でヒトでの初めての感染が确认された、オルソポックスウイルス属のエムポックスウイルスによる感染症で、中央アフリカから西アフリカにかけて流行しています。日本国内では感染症法上の4类感染症に指定されており、2024年6月30日までに247例が报告されている。

注2)症状消失を基準にした一般的な隔离终了:
米国疾病予防管理センター(颁顿颁)では、喉の痛みなどを含む一般的な症状を有する场合や、皮肤病変が完治していない场合は自己隔离を行うことを推奨している。典型的な病状の継続期间として3週间程度が见込まれている。

注3)クレード:
エムポックスは、コンゴ盆地型(クレードⅠ)と西アフリカ型(クレードⅡ补およびⅡ产)の2系统に分类される。コンゴ盆地型(クレードⅠ)による感染例の死亡率は10%程度であるのに対し、西アフリカ型(クレードⅡ补およびⅡ产)による感染例の死亡例は1%程度と报告されている。

论文情报

雑誌名: Nature Communications
論文タイトル:Modelling the effectiveness of an isolation strategy for managing mpox outbreaks with variable infectiousness profiles
著者:Yong Dam Jeong, William S Hart, Robin Thompson, 石金 正裕, 西山 尚来, Hyeongki Park, 岩元 典子, 櫻井 彩奈, 鈴木 倫代, 合原 一幸, 渡士 幸一, Eline Op de Coul, 大曲 貴夫, Jacco Wallinga, 岩見 真吾, 三浦 郁修.
DOI:

お问い合わせ先

マス?フォア?インダストリ研究所 岩見 真吾 客員教授