Research Results 研究成果
ポイント
概要
東京大学大学院工学系研究科の柳田剛教授(兼:大阪大学産業科学研究所 招へい教授)、高橋綱己准教授と九州大学大学院総合理工学研究院の辻雄太准教授らによる研究グループは、人工嗅覚センサ(注1)研究では達成が困難であると考えられてきた“堅牢性(注2)とセンシング感度の両立”を、従来はその寄与が小さいと考えられてきた“疎水性分子骨格(注3)と親水性固体表面(注4)の間に働くファンデルワールス力(注5)”を意図的に利用する新しいセンサ動作原理の提唱により実現しました。本研究の成功の鍵は、分子認識に関する化学研究分野では無視できるほど寄与が小さいと考えられてきた“疎水性分子骨格と親水性固体表面の間に働くファンデルワールス力”を積極的に利用したところにあります。この研究成果により、今後我々の身の回りに存在するさまざまな“匂い”の情報を長期間に渡って測り続ける新しい科学“匂いデータサイエンス”とその産業展開に役立つことが期待されます。
本研究成果は、2024年10月31日(英国時間)に英国科学雑誌「Nature Communications」に掲載されました。
実証した新たな人工嗅覚センサ动作原理のイメージ図
用语解説
(注1)人工嗅覚センサ
嗅覚机能を模倣するセンサ素子。ここでは大気や分析対象ガス(ヒト呼気など)中に存在する挥発性の分子群を、电気信号変化として検出する小型の电子素子を指す。
(注2)坚牢性
人工嗅覚センサにおける坚牢性は、长期间にわたって动作させた际にセンサ特性(同じ分子に対する电気抵抗変化量など)の変化を生じずに安定的に分子検出が可能であることを指す。
(注3)疎水性分子骨格
疎水性とは、水に溶けにくい、また水との相互作用が弱い性质を指す。本研究で扱う分子(表面修饰分子翱顿笔础、検出対象分子ノナナール)はいずれも分子骨格として炭化水素からなるアルキル锁を有しており、疎水性である。
(注4)亲水性固体表面
亲水性とは、水に溶けやすい、また水との相互作用が强い性质を指す。本研究で扱う人工嗅覚センサ材料である、酸化亜铅に代表される金属酸化物の表面は亲水性を有する。
(注5)ファンデルワールス力
ファンデルワールス相互作用とも表记する。分子や原子同士が接近した际に働く弱い引力であり、分子?原子间で発生する瞬间的な电荷の偏りによる相互作用を指す。共有结合やイオン结合のような强い化学结合と比较すると非常に弱い力であるが、疎水性や非极性の分子间では安定状态の形成に寄与している。本研究ではさらに弱いと考えられていた疎水性分子骨格と亲水性固体表面のファンデルワールス相互作用に基づく新たなセンシング机构を提案している。
论文情报
雑誌名:Nature Communications
題 名:Van der Waals Interactions Between Non-polar Alkyl Chains and Polar Oxide Surfaces Prevent Catalyst Deactivation in Aldehyde Gas Sensing
著者名:Kentaro Nakamura, Tsunaki Takahashi*, Takuro Hosomi, Wataru Tanaka, Yu Yamaguchi, Jiangyang Liu, Masaki Kanai, Yuta Tsuji, and Takeshi Yanagida*
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