Research Results 研究成果
ポイント
概要
九州大学高等研究院の牛丸理一郎准教授と東京大学大学院薬学系研究科の森貴裕准教授、阿部郁朗教授らの研究グループは、テキサス大学オースティン校化学科のHung-wen Liu教授、カーネギーメロン大学化学科のYisong Guo准教授らと共同して、強力な抗生物質活性を示す硫黄含有天然物アルボマイシンの生合成過程において硫黄挿入反応を触媒する新規酵素を同定し、鉄硫黄クラスター(注1)を硫黄供与源とする新たな化学反応机构を解明しました。
本研究ではアルボマイシン生产菌の遗伝学的解析や生合成酵素の生化学的解析に加え、硫黄挿入酵素に结合する鉄硫黄クラスターの性质を齿线结晶构造解析(注2)とスペクトル解析を用いて総合的に精査し、生物活性天然物の生合成経路において新たな硫黄导入分子机构を解明しました。
今回の成果により、新规硫黄含有天然物の発见や硫黄挿入生体触媒の开発といった创薬分野への応用が期待されます。
本研究成果は雑誌「Nature Catalysis」に2025年7月15日(火)午後6時(日本時間)に掲載されました。
アルボマイシン生合成における硫黄挿入反応
用语解説
(注1)鉄硫黄クラスター
复数の鉄と硫黄が结合して形成される补因子(金属クラスター)です。多くの酵素が补因子として鉄硫黄クラスターを持ち、电子伝达などの反応に関わります。
(注2)齿线结晶构造解析
物質の3次元構造を知る手法の1つです。酵素タンパクなどを結晶化し、散乱されたX 線を観測することで、物質の中の電子の分布を知ることができます。
论文情报
掲載誌:Nature Catalysis
タイトル:Radical S-adenosyl-l-methionine FeS-cluster implicated as the sulphur donor during albomycin biosynthesis
著者:牛丸 理一郎, Ziyang Zheng, Jin Xiong, 森 貴裕, 阿部 郁朗, Yisong Guo, Hung-wen Liu
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