Research Results 研究成果
ポイント
概要
アレロパシー(他感作用)は、ある植物が特定の化学物质を放出して周囲の植物の成长などに影响を及ぼす现象であり、生育を抑制するアレロケミカル(※3)は天然由来の除草剤の候补として注目されています。クルミ属の植物は强いアレロパシー活性を示すことが知られており、长い间その原因物质はジュグロン(※4)であると考えられてきました。
九州大学大学院薬学研究院のPoomraphie Nuntawong助教、森元聡名誉教授、坂元政一准教授らの研究グループは、順天堂大学薬学部の宮本智文教授、チュラロンコン大学薬学部のVaralee Yodsurang助教と共同で自然の環境を模倣した土壌ベースのバイオアッセイを確立し、オニグルミ(Juglans mandshurica)の新たなアレロケミカルとして2窜-デカプレノールを発见しました。更に、2窜-デカプレノールが一部の防御応答系の経路(二次代谢产物の生合成や细胞壁修饰など)を活性化する一方で、ストレス応答系の経路(ジャスモン酸シグナル伝达や小胞体ストレス応答など)を抑制し、防御バランスを乱すことで标的植物に対する感受性を高めることを明らかにしました。
本研究成果は、植物间の化学的相互作用の理解を深めるだけでなく、环境に优しい次世代型のバイオ除草剤の开発に役立つことが期待されます。
本研究成果は、米化学会の学術誌「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に2025年7月23日(水)にオンライン掲載されました。
研究者からひとこと
本研究の概要図
今回确立した简易なバイオアッセイは、クルミ以外の植物にも応用可能であるため、现在はより强力な活性を示すアレロケミカルの探索を进めています。本研究が、环境に优しいバイオ除草剤の普及、ひいては持続可能な农业の実现に贡献することを期待しています。(坂元政一)
用语解説
(※1) バイオアッセイ
生物(动植物や微生物)を利用し、ある物质の効果や毒性などを测定?评価する方法である。本研究では、植物の生育を抑制する画分を追い、2窜-デカプレノールを発见した。
(※2) バイオ除草剤
天然に存在する微生物や植物由来の化学物质などを利用して、雑草の生育を制御する除草剤のことで、化学合成された农薬などと异なり、环境に优しく、土壌や水中で分解されやすいため、持続可能な管理方法として注目されている。
(※3) アレロケミカル
植物が生成?分泌し、他の植物などの成长や発芽などに影响を与える化学物质。植物间のみならず、微生物や昆虫にも影响を与える场合がある。
(※4) ジュグロン
クルミ科の植物から単離された1, 4-ナフトキノン骨格を持つ天然化合物であり、アレロパシー活性を有し、周囲の植物の成長を抑制する作用が古くから知られている。
论文情报
掲載誌:Journal of Agricultural and Food Chemistry
タイトル:Allelochemical from leaves of Juglans mandshurica Maxim. and its transcriptomic effects in plants
著者名:Poomraphie Nuntawong, Kosei Ando, Tomofumi Miyamoto, Keisuke Matsuura, Thi Huynh Anh Huynh, Varalee Yodsurang, Satoshi Morimoto, Seiichi Sakamoto
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