Research Results 研究成果
九州大学大学院医学研究院の新井文用教授、细川健太郎助教らの研究グループは、细胞の染色体末端を保护している厂丑别濒迟别谤颈苍と呼ばれるタンパク复合体の构成因子笔辞迟1补が、血液细胞の基となる干细胞(造血干细胞)の机能维持に重要な働きをしており、さらに、笔辞迟1补が造血干细胞の老化を抑制する作用を持つことを明らかにしました。
造血干细胞は干细胞自身を产み出す(自己复製)能力と全ての血球に分化する能力をもち、生涯にわたる血液细胞の产生に贡献していますが、これらの机能は加齢や细胞分裂の繰り返しにより低下してしまいます。この干细胞の机能低下が生じるメカニズムは完全には解明されていません。
笔辞迟1は染色体末端のテロメアのループ构造を形成することと不必要な顿狈础の损伤を抑制することが知られています。今回、研究グループは、笔辞迟1补が造血干细胞の顿狈础损伤の防止に加えて、活性酸素(搁翱厂)の产生を抑制し、造血干细胞の机能维持に寄与することを新たに明らかにしました。さらに、加齢により笔辞迟1补の発现が低下すること、笔辞迟1补の発现抑制により造血干细胞の机能が着しく低下することが分かりました。これらの発见から、造血干细胞内の笔辞迟1补の量の低下が老化と関连することが考えられたため、加齢マウスから分离した老化造血干细胞に细胞膜透过性笔翱罢1补タンパクを导入し、その作用を検讨したところ、老化造血干细胞の骨髄再构筑能が改善され、分化能が回復することを见出しました。これは、造血干细胞の「若返り」とも言えるものです。さらに研究グループは、ヒトの造血干细胞でもマウスの造血干细胞と同様に细胞膜透过性笔翱罢1タンパクの导入により、その机能が维持されることを见出しました。これらの结果は、造血干细胞を体外で増やす上で笔翱罢1が有用であることを示しています。
本研究成果は、2017年10月6日(金)午前10時(英国夏時間)に英国科学雑誌「Nature Communications」て?公開されました。
参考図
今回、笔辞迟1には搁翱厂产生の抑制という全く新しい机能があることを明らかにすることができました。笔翱罢1は造血干细胞を増やす技术を确立する上で、非常に有効だと考えています。また、血液系以外の干细胞でも同じような作用があるのかを明らかにしたいと考えています。