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Research Results 研究成果

なぜ気孔は1対の細胞で囲まれる? ~植物の形作りの謎に数学で迫る~

2018.05.09
研究成果Life & HealthPhysics & Chemistry

 九州大学大学院医学研究院の叁浦岳教授と大学院医学系学府博士课程3年杉原圭氏の研究グループは、ワシントン大学の鸟居启子教授および理化学研究所の远藤高帆上级研究员らとの共同研究で、植物の気孔を形作る细胞がただ1回だけ正しく分裂してできるメカニズムを明らかにしました。
 ほとんどの植物には気孔と呼ばれるガス交换を行うための小さな孔がたくさん开いています。この気孔は元となる细胞がただ1回だけ分裂して2个1対の孔辺细胞を作ることで形成されています。これまでに、分裂の制御に関与する遗伝子の存在は知られていましたが、ただ1回の分裂を引き起こす仕组みの全貌は明らかになっていませんでした。
 今回、ワシントン大学と理化学研究所の研究グループは、バイオインフォマティクスを手掛かりに、3群からなる遗伝子ネットワークが気孔の分裂を制御していることを実験的に明らかにしました。九州大学の研究グループは、この遗伝子ネットワークの挙动を数理モデル化し、ネットワークに异常が生じた様々な変异体での细胞分裂の挙动を再现?予测しました。これらのことから、3群の遗伝子ネットワークが1回だけの分裂を制御していることが明らかになりました。植物学、バイオインフォマティクス、数理モデリングという3种の异なる分野が融合することで、植物に欠かせない気孔が1対の细胞で正しく形作られるメカニズムの一端を解明することができました。
 気孔は高校の生物でも取り上げられる一般にも驯染みの深い构造ですが、その形づくりの机构にはわかっていないことがたくさんあります。将来的に今回のような异分野融合研究によってさらに多くの根本的な形づくりの谜が明らかになっていくことが期待されます。
 この研究成果は、2018年5月8日(火)午前1時(日本時間)に、米国科学雑誌「Developmental Cell」オンライン版で発表されました。

遗伝子ネットワークの模式図

研究者からひとこと

植物学という异分野との研究は一种の异文化コミュニケーションでしたが、未知の分野と组み合わさることで兴味深い研究が生まれる异分野融合の醍醐味を味わうことができました。

论文情报

,Developmental Cell ,
10.1016/j.devcel.2018.04.010

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