二人のノーベル賞科学者が 若者へ語りかける [11/15]
2006.11.20
トピックス
平成18年11月15日(水)、江崎玲於奈氏(73年物理学赏)、野依良治氏(01年化学赏)の二人の(主催:読売新闻社、狈贬碍、九州大学)が、「创造的若者へ!科学者からのメッセージ」をテーマに开催されました。
読売新闻西部本社の小岛社长と、九州大学の梶山総长の挨拶に続き、野依氏が「人类の存続における知の融合」と题して、江崎氏が「自分の限界に挑戦しよう」と题してそれぞれ讲演。続いて、伊藤早苗応用力学研究所教授をコーディネーターにパネルディスカッションと、客席との质疑応答が行われました。
会場の医学部百年讲堂大ホールを埋めた、高校生約150名、九大生約70名を含む聴衆は、二人のノーベル賞受賞科学者の熱いメッセージに聞き入っていました。
なお、このフォーラムの详报は、読売新闻11月23日朝刊に掲载予定です。
【江崎、野依両先生语録】
1.讲演
础.野依良治氏 讲演「人类の存続における知の融合」から
○たとえ小さいことでも、ゼロから自分で考える态度が大事だ。インターネット頼りの现代人は、自己家畜化が进んでいる。
○21世纪は、「文化」を尊ぶ「文明」を创るべきだ。科学者は、「知の融合」によって、芸术家や人文学者と共通の认识基盘を持ち、共通の理性で语りあえるようでありたい。「情报」が「知识」となり、「知识」が社会を豊かにする「知恵」となるためには、「知の融合」によってもたらされる科学者の文化的価値観や创造力が不可欠だ。未来の命运を握るのは人间自身の変革であり、未来技术の正当性の文化的统治が必要になる。
○自然科学に権力は无用。反権威、前卫?异端、若い皆さんにはそういう意気込みを持ってほしい。
叠.江崎玲於奈氏 讲演「自分の限界に挑戦しよう」から
○人の能力は、天性と育成によって形作られる。自分が主役のシナリオ创作が人生だ。
○専门家は常に正しい訳ではない。
○失败を恐れるな。失败は、创造力を働かせてこれを生かして立ち直るチャンスだ。
○「しがらみにとらわれると、大事なことを感知できない」「大先生にのめりこむと、若い力を失う」「いろいろな情报から役に立つ情报のみ选ぶ」「自分を守るために戦う」「若々しい感性と好奇心を持て」がノーベル赏を取るための必要条件。ただし十分条件ではない。
2.パネル?ディスカッション
Q:伊藤早苗教授(コーディネーター):先生方の豊かな创造性の秘诀は?
江崎:创造性は自ら抽出してつかみ取るもの。弥生は縄文の延长线上にあるのではなく、真空管の延长线上にトランジスタがあるのではない。未来は创られるものだ。
野依:日本人は问题を作るのが下手なのではないか。好奇心や「なぜだろう」と思う気持ちが大事で、マイノリティであることを恐れてはいけない。絶対やり遂げるんだという意志がまず必要。パスツールへの挑戦が私のテーマだった。
Q:何十年と研究を続けていける强い意志の源は?(小野寺玲子:九州大学21世纪プログラム4年)
野依:研究のおもしろさは、新しいことを生み出していくことのおもしろさ。暗礁に乗り上げることは、新しい问题を见つけることだから、进めなくともめげたりはしなかった。
江崎:悪戦苦闘を繰り返すわけだが、能力による必然と偶然の女神の共同作业である発见のよろこびが活力になる。量子力学では、物事の本质的なことを研究しているという自信とよろこびがあった。
Q:これからの科学者に求められることは?(山本耕太郎:明善高等学校2年)
野依:これからの科学は、社会と大きなつながりを持つようになる。これまでの科学は証拠主义で、过去と现在が相手だったが、これからは予测のサイエンス。将来が対象となる。
江崎:先端、インフラ、人间、人类の生存のための科学と科学には4分野がある。何をやるかはそれぞれで考えよ。
Q:留学したいが、海外生活で困ったことは?(金光优:筑紫丘高等学校2年)
野依:海外に出ると英语で困るが、友人たちが助けてくれるし、文化に触発される。
江崎:新しい所に行きなさい。英语を学んでおきなさい。世界には様々な考え方があると分かるが、サイエンスは共通だ。
Q:研究の方向性がぶれないようにするには?(赤川史帆:九州大学理学部4年)
江崎:思うとおりに研究が进んだとしても、结果はたいしたことはない。予期しないものに出会うことが大事。ただし、その価値を判断する力、鑑识眼は必要。それがないと、周辺的なものにばかり捕らわれて无駄が多くなる。人生も同じ。チャンスがあればそれをつかむことも研究のおもしろさだ。
野依:目的を设定して始めるが、やっている间に面白いことが见つかればそっちへ行ってもいい。我々が当初持っている知识はわずかなものだ。いい课题を见つけることが一番大事で、何かひらめいて课题が生じたら、それは君独自の研究になる。产学连携などでは管理された研究が必要だが、学术研究は知の创造なのだ。科学者は不确実性に赌けているのだが、それが心のよりどころでもある。
Q:理科离れについて
江崎:米国では、科学の时间は教えるより実験させて、発见するよろこびを体験させる。
野依:大の大人の优秀な科学者が寝食を忘れ没入して研究し创造に向かうわけだ。それくらいおもしろいのがサイエンス。それがどういうことか考えてほしい。